著者の中野信子さんは東京大学博士課程で博士号を取得されたのち、フランスの研究機関にポストドクターとして勤務、さらに世界の知能指数上位2%しか会員になれないMENSAの会員でもあります。このようなご経歴の方が認める「頭がいい」人とはどのような人なのでしょうか。まずタイトルを見ただけで、読みたくなる本ですよね。この本を読むことで、世界の頭のいい人とはどんな人か、心がけていることはなにか、彼らのスケジュールの立て方、自己分析と自己改良をどうしているのか、そして私たちが頭のいい人に近づくにはどうすればいいのかがわかります。
世界の頭のいい人とはどんな人
11名の「頭のいい人」のエピソードがそれぞれ述べられています。各自が持っている性格や振る舞いの紹介、そして著者なりの意見が添えられています。そのことにより単なる読み物というより、読者に深い示唆や考えるきっかけを提供してくれる教材となっています。
世界の頭のいい人が心がけていること
この章では、課題に取り組むうえで「頭のいい人」が持っているマインドセットが主に書かれています。本から何でも吸収する人や、楽観主義の人、さらにはヤーキーズ・ドットソンの法則を使って適度なストレスを与えてモチベーションをコントロールしているドイツ人の医者の話などが紹介されています。
世界の頭のいい人のスケジュールの立て方
この章は、筆者の読者へのメッセージがコンパクトにまとめられています。タイトルは、「スケジュールの立て方」となっていますが、内容は課題に対する取り組み方。冒頭に記述した通り、権威性のある筆者のアドバイスです。一つ一つは目新しいことではないにせよ、筆者がセレクトした項目であることを考えると、貴重なアドバイスと思えます。
世界の頭のいい人の自己分析と自己改良
この章は、著者の中野信子さん自身の自己分析について語られています。見た目を大切にする、というパートでは、著者が経験した不快な思い出から得られた教訓、見た目を整えることで状況を改善できること、そして第一印象が重要というハロー効果について書かれています。頭脳明晰で実力で勝負してきた印象を与える著者の意外な告白はたいへん興味深く、意外な一面の自己開示でした。さらに脳に良い食べ物など、ちょっとした知識も末章にあります。
世界の頭のいい人に近づくために
最後のこの章では、いよいよ、私たち凡人がどのようにしたら「頭のよい人」になれるかが、著者の視点から述べられています。集中力をつけるために環境を整える、目標を立てる、覚えたことを思い出しやすくする工夫、さらには良く寝ること、といった当たり前に言われていることが書かれてはいるのですが、これも権威ある著者が強調していることから、納得感のある情報に感じます。
世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた まとめ
全体を通して平易な文章でつづられていますので、すっと読める感じです。だからといって薄っぺらい内容ではけっしてなく、実績充分な著者が書いたからこその説得力が感じられます。紹介された「頭のいい人」のエピソードは、私たちの予想の範囲内に収まっているので、むしろ「成功するための行動と思考法」として読む方がピッタリくる感じの著書でした。