2022年3月。私は上司に退職の意志を伝えました。特に会社に不満があるわけではなく、それなりに処遇してもらっています。
同僚や上司との関係も良好、このまま働き続ける選択も普通にありました。
おそらく第三者的には、あと数年で定年なのになぜ?と感じる状況だと思います。
でもあえて私は早期退職を選択しました。決意に至った想いを綴ってみました。
私が入社した時代
1991年に入社。それからほぼ30年。私は、同じ会社で勤め続けてきました。当時は最初に入社した会社で定年まで勤め上げるのが普通。たまに転職する同期もいましたが、かなり珍しいことでした。
サービス残業は当たり前。私と同年代であれば、栄養ドリンク剤のコマーシャル、「24時間働けますか♪」というキャッチフレーズを記憶されている方も多いのではないでしょうか。年功序列により、勤続年数に応じて昇給する仕組みが一般的。転職するより定年まで同じ会社で働き続けた方が最終的には得が大きいシステムが組みあがっていました。
会社は社員に忠誠をつくさせ、定年まで面倒を見ます。手厚い福利厚生を準備することで社員を長期的に育成し、愛社精神に満ちた会社に都合の良い人材を獲得する。社員は家族よりも会社を優先し、家族もそれを自然に受け入れ、妻が子育てを含め家庭の一切合切を仕切る。
今の50代の会社員はたいていそんな環境で働いてきたのではないでしょうか。
世は平成、令和へ
バブルがはじけて10年、20年、30年。最初は失われた10年と言われそのうち力強い日本経済が復活すると思われていたものの、20年、30年が経ちました。状況は改善するどころかますます悪化。
世界的にも日本のプレゼンスが低下してしまっています。大企業の倒産も数知れず。かつて電子立国と言われた日本は韓国、台湾、中国にお株を奪われ、今日日本を象徴する産業はもはや思い当たりませんね。就職氷河期、派遣切り、超高齢化社会、少子化による人口の減少。
暗い話になってしまいました。
早期退職 これからは個が稼ぐ力をつける時代
さて、ミレニアル世代、Z世代という言葉をご存知でしょうか?
それぞれ、1980年~2000年に生まれ、2000年以降に成人を迎えた世代、1996年~2012年に生まれ、2010年以降に成人を迎えた世代のことです。
彼らは経済大国であった日本のことは知りません。いったん入社すると定年まで働くとか、サービス残業で会社に忠誠を尽くすとか、そもそも教育課程を修了すると企業に就職する、ということすら当たり前の感覚ではない世代です。
どんなに大きな会社でも倒産するかもしれない(過去そういうことが起こっていたのを知っている)のにすべての身をゆだねるなんてリスクが大きすぎる~、ちゃんと労働しているのにサービス残業という概念が理解できない~、っていう感覚の持ち主です。
で、彼らの肌感覚は、「結局信じられるのは自分だけ」という極めてシンプルで本質的な現実。彼らが育ってきた環境は、インターネットが当たり前にあって(デジタルネイティブ)、SNSを使いこなし人と繋がりながらの日常です。そして多くの若者がこれらの技術を使って積極的に経済活動に参加しているのです。
早期退職 私の決意
今の若い世代のトレンドは、これからの社会の在り方となって普遍化します。つまり、後10年もすればSNSで繋がり、情報をやり取りしながら個人個人が経済活動のハブとなるのが一般的な働き方となるような気がするのです。
もちろん今ある株式会社、あるいは多くの社員を抱える大企業も存続しているとは思います。しかしながら50代の私たちが常識としていたモノとはすっかり変わってしまっているのでは、と思うのです。
早期退職から始まるセカンドライフ
私が勤めている会社は、創立100年を超える大企業。良くも悪くも昔の習慣を色濃く残しています。
大きな会社ほど世の中の変化への対応が難しい。今現実に世界や日本で起こっていることを経営方針に盛り込んですばしっこく立ち回ることは出来ません。というか一部若者が立ち上げたベンチャーを除き、日本の一般的な会社でうまく立ち回ることができるところはないのではないでしょうか。
私は思うのです。これからの時代を生き抜くためには、個の時代に適合すること。すなわち、個人個人がマーケットの動きを正確に察知して対応するスキル、情報発信して市場からに共感を得るスキル、変化を敏感に感じ取るスキルを早急につけるべきなのです。
最新技術やAIの普及により、すでに多くの仕事が人の手を使わない自動化に進んでいます。これから生きる力をつけるため、旧態依然とした会社に安住している暇はないと思ったのです。